メールやビデオチャットなどのツールを使えば直接会わなくてもコラボレーションできる今、あえて時間と空間を共有し話し合う「対話」の場を、より実りあるものにしたい、と感じている方は多いのではないでしょうか。 単なる情報共有や一方通行のやりとりになってしまっている会議や、何となくやった気になるワークショップを、参加者一人ひとりの“違い”を力に変え、物事を考える場へと変えていく。そのためには、進行役となってコミュニケーションを活発化させ、問いを立てて対話を深めていく「ファシリテーション」の力が必要です。
今回、そんなファシリテーション力を身に着けたい方を対象に、2日間のワークショップを行いました。

■DAY1 明日から使える『会議で使える場作り』

 4月11日夜に開催した第1回は、ファシリテーションの基礎となる「会議の場」にフォーカスした2時間のワークショップです。ファシリテーターの井澤による講義をベースに所々ミニワークを取り入れながら、ファシリテーターに必要な「マインド」と「意見の引き出し方」を身につけて貰いました。
 最初のワークは、LEGO® SERIOUS PLAY®を用いた自己紹介のアイスブレイク。「今の気分・オタク度・期待すること」や「今までに経験した最悪な会議」をレゴブロックで表現し、対話形式で説明します。参加者はこのワークを通して、「事実」と「解釈」は別物であり「解釈」は一人ひとり自由であることを体感。定義論や「正解」ありきの会議に陥らないためのマインドや、基本ルールの大切さを学びました。
 後半はスキルにフォーカス。6つの異なる視点を6色の帽子に投影し、被った帽子の視点になりきってもらう「シックスハット」など、異なる意見を引き出すメソッドや、意見を深掘るための問いの立て方を学びます。「共感で終わらせない」「相手が答えられる問いかけをすること」「安易にwhyやhowを使わない」といった具体的なアドバイスに、深くうなずいている方もいらっしゃいました。
 「ファシリテーターとは、参加者の相互作用を促し課題解決を助ける、助産師のような存在」「ファシリテーションとは、サイエンスでありアートである」という井澤の言葉に真剣に聞き入る参加者の姿が印象的でした。 

■DAY2 明日から使える『一人ひとりの力を引き出す場作り』

 4月14日に開催した第2回は、ワークショップなど大人数でアイデアを出し合意形成を行うファシリテーションの「スキル」によりフォーカスしたワークショップです。その場が盛り上がるだけでなく、最終的に具体的なアウトプットを出すためのスキルを一日かけて学びます。ファシリテーターとしての立ち振る舞いやきちんと機能する“問い”の立て方について、参加者による実演を多く取り入れた内容となりました。
 DAY1と同様にLEGO® SERIOUS PLAY®を用いた自己紹介やアイスブレイクからスタート。「できるだけ高いタワーを作り、ストーリーを見立てる」「ファシリテーションを表現し、他者との違いを見つける」といったワークにより、「“人は分かり合えていない”という前提に立つ」「その異質性こそが対話を可能にする」といったファシリテーションの基本マインドを理解します。
その後の本編では、5つのスキル演習を通じ、ファシリテーションの実践力を高めます。プログラムは「テーマを自分ごと化するためのオープニングの作り方」「ワークショップの質を高めるためのスモールステップの設計方法」「機能する問いの立て方」「多様な視点の持たせ方」「合意形成のための構造化の仕方」の計5本。
プラクティカルな5つの演習を「講義→実践→フィードバック」のプロセスで実体験することにより、ファシリテーションの実践スキルを頭と体で覚えていきます。参加者は実演後に受講者からのフィードバックを受けるというハードなプログラムでしたが、終了後は「ファシリテーションの要点が理解できた」「実用的なアイデアがたくさんあった」といった声が多く寄せられ、参加者の皆さんには多くの気づきとヒントを持ち帰っていただけたようです。

参加者の声

  • 心構えからすぐに使えるスキルまで、入門に最適でした。
  • 普段意識していなかったことに気づくきっかけとなった。
  • 明日から使える内容があった。
  • 実際に使えるヒントをたくさんいただいた。
  • 小さいワークがたくさんあって楽しかった!
  • 新規事業に取り組む部署にいるが、何も決められない会議進行に課題を感じて参加した。司会でなくファシリテーションの重要性を感じた。

毎日の料理を楽しくするスマートキッチン体験をプロトタイピングする
・日 時:2018年6月30日 (土) 〜 2018年7月14日 (土)
・会 場:TechShop Tokyo
・人 数:20名
・主催:クックパッド株式会社、株式会社LIXI、テックショップジャパン株式会社

・INTO THE FABRICメンバー:
 ファシリテーター 木継 則幸
 ディレクション 高嶋 大介
 ライティング 宮川 歩