ワークショップ「毎日の料理を楽しくするスマートキッチン体験をプロトタイピングする」(後編)

 6月30日(土)から7月14日(土)までの2週間、クックパッド株式会社様、株式会社LIXIL様、テックショップジャパン株式会社様の3社共催によるワークショップ「毎日の料理を楽しくするスマートキッチン体験をプロトタイピングする」が開催され、INTO THE FABRICが設計とファシリテーションを担当しました。

 

 レポート後編では、最終日7月14日(土)に行われたプロトタイプの総仕上げと最終審査の様子、そして気になる審査結果をお伝えします。(前編はこちら

最終メンタリング

 最終日は、全メンターへのプレゼンテーションとフィードバックからスタート。これまでオンラインのメンタリングやTechShop Tokyoの設備を活用しながら作り上げてきたプロトタイプをメンターの前で披露し、最後のメンタリングを受けます。

 各チームのプロトタイプの完成度はさまざまで、よくできた仕組みに驚きと笑いの絶えないチームもあれば、プロダクトではなくプレゼンテーションに重きをおいたチームも。

 メンターの皆さんが口を揃えて各チームに問いかけるのは、「これが実現したら、誰の何がどんなふうに変わるのか、どんな気持ちになるのか、どんな世界が広がるのか」ということ。メンターとの対話を通して活用イメージを深めながら、「審査員に価値をどう伝えるか」というポイントも、徐々に意識していきます。

プロトタイプの総仕上げ

 メンタリング後は、最終審査までひたすらプロトタイピングと発表準備です。ライトの色味はどうか、ピーラーの切れ味や飛び出すタイミングはちょうどよいか。何度も動作確認をしたり、台本の読み合わせを入念にしたり。各チームとも、この2週間取り組んできたことの総仕上げに余念がありません。

最終審査

 特別審査員の川上ミホさんのご挨拶と賞品紹介の後、いよいよ最終審査へ。審査基準は全部で4つ。「革新性」「楽しさ」「有用性」そして「チームワーク」です。アイデアの独創性やプロダクトの完成度ももちろんですが、会場中央に設定されたアイランドキッチンを舞台に、3分という短い時間でいかに審査員に“世界観”を伝えられるかが試されます。

 ここからは、各チームの発表内容を、審査員コメントの抜粋と共にお送りします。

チーム名:プレクック、プロダクト名:プレクック

 チーム「プレクック」は、料理の面倒な作業を排除することで料理の楽しさの価値を最大化するプロダクト「プレクック」を、「仕事で疲れて帰ってきた料理当番の夫が、クックパッドのレシピでカレーをつくる」という設定の寸劇で表現。夫がキッチンの外で着替えている間に、システムキッチンに内蔵された「プレクック」が、ジャガイモの皮を自動でむいてくれました。

◯審査員コメント

  • 料理の下ごしらえは、料理の中でも多くの時間を占めているので、そこが手軽にできるのはいいですね。売られているカット野菜はどうしても味が落ちてしまう。キッチンで切りたてのカット野菜を使えるというのは、おいしさという点でもプラスです。主婦目線でいうと、切った後の皮の処理と洗い物までを自動でやってくれるとうれしいですね。(川上さん)

チーム名:EarthBasket、プロダクト名:EarthBasket

 チーム「EarthBasket」は、「料理の場の価値を最大化する」をテーマにしたキッチン「EarthBasket」をプレゼンテーション。フードロスへの課題認識をバックグラウンドに持ちながら、キッチンを単に「料理する場所」ではなく、「家族のおいしい生活を見守り育て、食材の大切さを実感できる場所」と再定義したアイデアです。メンバーが、以下の機能を使いこなす主婦を演じました。

  • カメラで食材を自動認識し、鮮度やストック情報をスマホで管理。
  • ストック状況に応じて、必要な食材がすぐに自宅に届く。
  • キッチンの引き出しが冷蔵庫になっていて、料理をしながらさっと取り出せる。
  • 排水リサイクルによる水耕栽培ポットで、野菜を育てる楽しみを実感。
  • 味噌などの日本の伝統的な手作り食材を自動管理で製造可能。

◯審査員コメント

  • フードロスは食の世界ではホットトピック。個人的には、家族の中でのコミュニティだけでなく、地域でのコミュニティにも広げていけるところがおもしろかったです。作り過ぎてしまったお惣菜のおすそ分けなどにも発展していくと、料理をするときの楽しさがより広がっていくのでは。(川上さん)
  • フードロスというテーマに最後までこだわり、この数時間でよく頑張ったと思います。キッチンそのものに対して、既存の延長線上ではない、ちょっと未来を想像させるような、「調理する道具」を超えた可能性を感じさせてもらいました。(LIXIL・二瓶さん)

チーム名:女の子、プロダクト名:デリセンス

 チーム「女の子」は、「料理のモチベーション」にフォーカス。一流シェフの「デリさん」が光と音で楽しく料理をガイドしてくれる「デリセンス」を発表しました。2030年に暮らす、料理が苦手な女子大生がデリさんのガイドでハンバーグを作るまでを、光るフライパンやディスプレイを兼ねたまな板、そして女子大生とデリさんの軽妙なやりとりを通して表現しました。

◯審査員コメント

  • プロダクトを色々と作り込んでいて、ことばで伝える以上にわかりやすく、未来感があった。2030年に大学生ということは、現在小学生くらい。我々メーカーとしては、今の小学生が大人になったらどんな料理体験をするのかに非常に興味があり、今回のアイデアは参考になりました。(LIXIL・二瓶さん)
  • 盛り付けシミュレーションがいいですね。「個人的に欲しい!」と思う機能がたくさんありました。(クックパッド・住さん)

チーム名:ダンパ、プロダクト名:ルンボ(ルンルン包丁)

 チーム「ダンパ」は、音とリズムで楽しくクッキングできる包丁「ルンボ」を実演。ルンボは、食材の切り方によってさまざまな効果音と光を奏でます。単に楽しむだけでなく、「適量」や「少々」などの量や、砂糖と塩の違いも音で教えてくれるそうです。プレゼン後半では、特別審査員の川上さんも「ルンボ」を体験。ゆっくり振り下ろした包丁から流れてきたロックなギターサウンドに驚いていました。

◯審査員コメント

  • レストランで仕込みをするときにノリのいい音楽をかけると、リズムにあわせて仕事がすごくはかどるんです。「気がついたら仕事が終わってた」みたいな楽しさがありそうですね。(川上さん)
  • 本イベントのテーマが「毎日の料理を楽しくする」なのですが、論理的にアプローチするのではなく、感情に訴え、理屈抜きで楽しくなる、というのが面白いと思いましたし、今まで我々が考えてきたキッチンに足りなかった要素かも、とも思いました。(LIXIL・二瓶さん)

結果発表

 どのプロトタイプにもキラリと光る魅力があり、審査員の皆さんも相当悩まれたようですが、審議の結果、チーム「女の子」が接戦を制してクックパッド賞と最優秀賞をダブル受賞という結果になりました。

  • TechShop賞 : ルンボ(ルンルン包丁)(チーム名:ダンパ)
  • LIXIL賞     : EarthBasket(チーム名:EarthBasket)
  • クックパッド賞: デリセンス(チーム名:女の子)
  • 最優秀賞   : デリセンス(チーム名:女の子)

 なお、今回のプロトタイプのいくつかは、2018年8月に開催されたフードテックカンファレンス「Smart Kitchen Summit Japan 2018」で展示されました。

■毎日の料理を楽しくするスマートキッチン体験をプロトタイピングする

・期間  :2018年6月30日 (土) 〜 2018年7月14日 (土)

・会場  :TechShop Tokyo

・設計&ファシリテーション:木継則幸(一般社団法人INTO THE FABRIC)

・クライアント      :クックパッド株式会社、株式会社LIXIL、
              テックショップジャパン株式会社